この道50年の鮨職人が嘆く豊洲・築地市場の現状|吉祥寺の江戸前寿司、鮨勝

東京都武蔵野市吉祥寺東町1-3-3

鮨勝について

この道50年の鮨職人が嘆く豊洲・築地市場の現状

週に3日、朝4時半から河岸に向かい仕入れをします。
7時前には家に帰り1時間くらいご飯を食べたり休憩して2時くらいまで仕込みをします。
4時半くらいにお店に着いて開店準備です。
 


普段の睡眠時間は2.3時間ですが50年間この生活をしていますし、
ゴルフに行くときも一緒なので辛いとか思ったことはないですね。

鮨の世界に入ったのは海苔屋さんの紹介で仕事見学に行ったつもりが、
そのまま白衣を着させられて住み込み修行が始まったんですね。

その店は本当に酷かったですね、
20時間労働とかは当たり前で26時間働いたこともありましたよ。
そこで鍛えられましたね。
それでも休みの前の日は寝ないで遊びに行っていました。




最近、新宿の繁華街前でも朝のタクシーの空車が目立ちますよ。
朝方、女の子が酔っぱらって飛び出してきて危ないんですけど
今年は特に人がいないですね、景気が悪いんでしょうね。

築地にいた人が新しく魚河岸を作ったんですが、3割くらいの店が閉めてしまいました。



一応8時まではプロ専用の場内市場ですけどプロが仕入れに来ないんですね。
一人いたらいい方です、ガラガラでびっくりしますよ。

築地の市場もプロの場所ではなくなって観光客が来るのを待つしかないんです、
情けないですね・・。

今でもマグロは築地に買いに行くのですがマグロはお店との信用がないとダメなんですね。
長い付き合いの中でカマ下など良い部位を優先的に卸していくので、
知らない業者には売ってはくれないのです。



長年通っていたお店が最近閉めてしまったので、今のお店を紹介してもらいました。


築地にあった1200の店舗のうち1000店舗くらいが豊洲に行ったのかな。
でも築地に残った人もいるんですよ。
豊洲に移動するのに1000万円かかるので個人商店では払えないですからね。

ところが移動した豊洲の店もつぶれてしまっているから、
空き店舗が増えているんです。

今も付き合っているお店は30年くらい通っています。

豊洲のお店も継がない人が多いし、小さなお店は大きいグループに買収されて、
大きいお店はどんどん大きくなっていきますね。

企業で働いた方が働きやすい時代ですから、個人店は少なくなってしまいます。
魚の事を分かっていない若い人も増えて、昔からの職人がいなくなるのは寂しいですね。